SHARP AQUOS R6(ソフトバンク版)レビュー カメラに注力した意欲作だがソフトの完成度が低い

レビュー

ソフトバンク版のAQUOS R6をメイン端末として3ヶ月使用したのでレビューします。

1インチセンサー搭載のハイエンドスマホ

SHARP AQUOS R6は、2021年9月発売のAndroidスマートフォンです。
SoCにSnapdragon 888、メモリを12GB搭載するハイエンド構成で、発売から1年半たった現在でも処理能力に不満を感じません。

最大の特徴はライカカメラ社監修のカメラです。1インチのセンサーサイズは、高級コンパクトデジタルカメラのセンサーサイズに匹敵します。
このセンサーを活かすためのレンズはライカ「ズミクロン」の名を冠するF1.9/19mmの7枚構成レンズ。
最近のハイエンドスマートフォンは焦点距離の違う複数のカメラを搭載するのが一般的ですが、R6は敢えての「単眼」で、広角レンズを必要に応じてトリミングすることで、超広角から望遠撮影まで対応します。

また、画面の美しさも特長です。Pro IGZO OLEDと名付けられた有機ELディスプレイは6.6インチで、解像度は1260×2730ドット。
表示コンテンツに応じてリフレッシュレートが1~240Hzまで可変することで、消費電力を抑えつつ滑らかさな表示を実現しています。

スペック表

ブランド名AQUOS R6
形名SH-M22
OSAndroid 11(発売時)
サイズ/質量約162 × 74 × 9.5mm/約207g
CPUQualcomm ® Snapdragon TM 888 5G Mobile Platform
2.8GHz+1.8GHz オクタコア
内蔵メモリ12GB RAM/128GB ROM
ディスプレイ約6.6インチWUXGA+(1,260 × 2,730ドット)Pro IGZO OLED
アウトカメラ有効画素数 約2,020万画素 CMOS
F値1.9レンズ[焦点距離19mm※5相当]
ローライトToF AF
電子式手ブレ補正
インカメラ有効画素数 約1,260万画素 CMOS
F値2.3レンズ[焦点距離27mm※5相当]
対応バンド5G:n77/n78/n79LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B13/B17/B18/B19/B20/B21/ B28/B38/B39/B40/B41/B423G:B1/B2/B4/B5/B8GSM:850/900/1,800/1,900MHz
Wi-Fi®IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
Bluetooth®Ver.5.2
バッテリー容量5,000mAh(内蔵電池)
防水/防塵IPX5・IPX8/IP6X
生体認証顔認証、指紋認証(3D超音波指紋センサー「Qualcomm ® 3D Sonic Max」)
SIMカード
スロット
Nano SIM×2 DSDV対応※6(1基はmicroSDXCカードスロットと排他利用)
その他の機能おサイフケータイ/NFC
SHARP

ワイモバ→ソフトバンクMNPで実質24円

この端末、発売時(2021/9)は16万円(SIMフリー版)という高額端末でしたが、発売から1年を待たずして後継機のAQUOS R7が発売(2022/7)され、価格が急落。
ちょうど、メイン回線をワイモバイルからソフトバンクにMNPする際に「新トクするサポート」の対象になっていたため

月額1円×24回(2年後端末を返却)

という条件で契約しました。

※ 厳密に言えば「1円×24回+2790円×24回の 合計48ヶ月(4年)ローン」という形になっています。

実際は2年間持つ必要はなく、契約後1年(13ヶ月目)で端末を返却し(繰り上げ返済して総支払額24円)、次の機種に乗り換えられます(1年繰り上げオプション)。

スマホ版の「残価設定型ローン」ともいえるこの制度を初めて利用しましたが、Android端末は価格の下落が激しいので、購入した端末をヤフオク・メルカリ等で売却するよりもお得に感じられました。

ただし、画面割れや筐体の変形等、端末が破損している場合は22000円を追加で支払う必要があります(通常使用でつく擦り傷等は対象外)。

スペック

AQUOS R6は2021年当時のハイエンド構成で、SoCはSnapdragon 888で、メモリも12GB搭載しています。
このレビューを書いている2023年3月現在、最新のSoCはSnapdragon 8 Gen 2。888は2世代前ということになりますが、処理能力はGoogle Pixel 7のTensor G2と互角。普段遣いはもちろん、3Dゲームや動画編集もストレスなくこなせます。

ストレージは128GBですが、MicroSDXCスロットを備えるため、必要に応じて保存領域の拡張が可能です。
とはいえ、最近はアプリの容量が肥大化しており、人気のゲーム「原神」などは20GBもストレージを消費します。
ハイスペックを活かしてゲームを楽しみたいなら、256GB以上の容量が欲しいところです。

AQUOS R6は大型の端末で、サイズは162 × 74 × 9.5mm、重量は約207gで、流石に重さを感じます。
スマートフォンの登場以降、端末の大型化が進んできましたが、最近は少し揺り戻しの動きがあります。携帯端末としては200gがひとつの限界なのかもしれません。

本体は防塵防水対応(IPX5・IPX8/IP6X)で、もちろんおサイフケータイも内蔵。ここはさすが国内メーカーといったところ。

指紋認証は画面内で、クアルコムの超音波式指紋認証センサーを搭載しています。センサーの範囲は広いですが認証スピードが遅く、しっかり指を押し付けないと反応しません。

指紋センサーは超音波式で 画面中央寄りに搭載

最近のハイエンド機種としては珍しいことに、イヤホンジャックも搭載しています。
有線イヤホンの使用はもちろん、動画撮影時に外部マイクを使える点は便利です。

充電しながらイヤホン・マイクを使用可能

なお内蔵スピーカーは、本体価格に見合った音質とは思えません。そのためのイヤホンジャックなのかもしれません。

プリインストールソフト

入手したAQUOS R6はソフトバンクのキャリア版のため、大量のキャリアアプリがプリインストールされていました。

Reno 5Aと同じ方法でアプリの無効化を行いました。

ピントが合えば高画質なライカカメラ

本機最大の魅力は名門ライカ監修のカメラ。
ソニーの高画質コンデジ RX100シリーズの2020万画素 1インチセンサーとライカ「ズミクロン」 レンズ(F1.9/19mm 7枚構成)を組み合わせた構成です。

メインカメラ単眼構成。脇にある2つのレンズはToFセンサーとフラッシュ

最近のハイエンドスマートフォンは焦点距離の違う複数のカメラを搭載するのが一般的ですが、R6は敢えての「単眼」で、広角レンズを必要に応じてトリミングすることで、超広角から望遠撮影まで対応します。

大型センサーの恩恵でダイナミックレンジが広く、一眼レフのような「ボケ」も表現できるAQUOS R6は、メモがわりの記録写真ではなく「作品」が撮れるポテンシャルを持っています。

ただし「ピントが合えば」という但し書きがつきます。

本機はToFセンサーを用いたレーザーAFを採用していますが、この出来が酷いです。合焦スピードが遅いだけならまだしも頻繁に迷い、ピンボケ写真を量産します。

とにかくピントが合わない(AQUOS R6で撮影)

また、大型センサー共通の問題とは言え、最短撮影距離が長いという点も、スマートフォンとしての使い勝手の悪さに繋がっています。

ピント問題を除いてもソフトウェアの作り込みが甘く、露出が合いません。
暗所撮影時のノイズ処理も甘く、ハードウェアのスペックを活かせているとは思えませんでした。

むしろダイナミックレンジが狭いと感じる(AQUOS R6で撮影)

「作品」を撮るなら、マニュアル設定、マニュアルフォーカスで撮る気合が必要です。

高画質が台無しの曲面ディスプレイ

カメラに並ぶ、AQUOS R6のもうひとつの強みがディスプレイです。Pro IGZO OLEDという有機ELディスプレイは6.6インチで、解像度は1260×2730ドット。
10億色表示、コントラスト比2000万:1、輝度も2000ニトと、妥協のないスペックです。
また、リフレッシュレートを1~120Hzに可変させることで、滑らかな表示と低消費電力を両立しています。

ディスプレイ品質の高さはシャープが謳う通りで、明るい屋外でも高画質で映像コンテンツやゲームを楽しめます。

ただ、左右がカーブした曲面ディスプレイは蛇足でした。

画面上端、エッジ付近で空が暗くなっているのがわかる

確かに見た目はスタイリッシュですが、画面端付近では明るさや色合いが変わってしまい、せっかくの高画質が台無しです。

なお画面保護フィルムなしで運用していますが、3ヶ月で細かい擦り傷が結構付きました。

誤作動の多いタッチパネル

実は、記事執筆段階ですでに次の機種に乗り換えようとしています。

その理由は、タッチパネルの不具合。
カメラもディスプレイも慣れましたが、これだけはダメでした。

曲面ディスプレイの端末は誤タッチが多発するといいますが、これはソフトウェアでうまく抑えられています。
手の大きさや握り方によっても違うと思いますが、私の場合は殆ど問題になりませんでした。

問題は、タッチパネル自体の誤作動が多いという点です。
スワイプ中にタップ認識されたり、逆にタップがスワイプ認識されたり。
例えるならスイッチが摩耗してチャタリングしたマウスのようです。

タッチパネルの誤作動に耐えられない

画面をオフ→オンにすると直りますが、頻発するためストレスが溜まります。

まともに文字入力もできない端末をメインに据えることはできません。

優れたハードウェアを全く活かせていない

1インチセンサーカメラや高画質のディスプレイを搭載したAQUOS R6。意欲的な製品だけに期待していましたが、充実したハードウェアに対してソフトウェアの完成度が低く、厳しい評価となりました。
高画質カメラを活かした写真をもっと簡単に撮影でき、確実なタッチ操作ができれば、この端末に対する感想は大きく異なっていたと思います。

AQUOS R6は、シャープとしては実験的な製品だったのかもしれません。

本機から1年を待たずして発売された後継機種のAQUOS R7は、新型センサー採用、ディスプレイもフラット化されています。
価格が20万円近くになったのがネックですが、こちらも現在は価格が下がっているようなので、機会があれば使用してみたいです。